研究説明文書
HOPE-BC研究 の研究説明文書を記載しています。
公開日:2025/2/5
本研究の実施計画と研究組織は、以下の通りです。
1 研究について
【本研究の意義】
本研究では、みなさまが日常的に使用しているスマートフォンやコンピューターを用いて、ピアサポートのサービスを受けていただくことで、みなさまの不安が和らぐかどうか、よりよく生活することができるようになるのかなどを調べる研究を行っています。
ピア(peer)とは、同じような立場や境遇、経験等を共にする人たちを表す言葉です。今回のピアサポートとは、乳がんを経験したピアが、みなさんのサポーターとなり、乳がんの治療中の生活の悩み事について相談に応じたり、サポーター自身の体験を共有したりします(ただし、医療行為に関する内容には踏み込まない相談をしております)。
この研究では、スマートフォンやコンピューターを用いて受けていただいたオンラインによるピアサポート実際の効果を、皆さんにご協力いただきながら検証したいと考えております。
本研究の名称は、「乳がん患者を対象としたオンラインピアサポートの有用性を予備的に検討するための多機関共同ランダム化比較試験」です。
以下に研究の内容について説明してありますので、よくお読みになった上で、ご協力いただける場合には、本研究ウェブサイトのホームページから参加希望の手続きにおすすみいただけますと幸いです。申し込みいただいた方には、事務局からお電話で、参加条件についていくつか確認させていただきます。確認が取れましたら、本人確認書類(診察券等)をアップロードしていただき、最終的に今回の研究への参加をスマホやコンピューターを用いてウェブサイト上で同意して頂きます。これで研究手続きが完了です。確認が済みました写真は事務局にて速やかにサーバーから削除させていただきますのでご安心ください。
【倫理審査について】
この研究を実施することについては、特定非営利活動法人MINS治験審査委員会(所在地:東京都港区三田5丁目20番9-401号)において医学、歯学、薬学その他の医療又は研究に関する専門家や専門以外の方々により倫理性や科学性が十分であるかどうかの審査を受け、承認されたうえで、研究を実施する研究機関の長から研究を実施することについての許可を受けています。また委員会では、この研究が適正に実施されているか継続して審査を行います。
なお、本委員会にかかわる規程等は、以下のホームページよりご確認いただくことができます。
特定非営利活動法人MINS治験審査委員会 ホームページ
http://www.npo-mins.com/home
2 研究の実施体制
研究代表者 | 神奈川県立がんセンター乳腺外科 | 部長 | 山下 年成 |
---|---|---|---|
研究運営委員 | がん・感染症センター都立駒込病院 精神腫瘍科・メンタルクリニック | 部長 | 秋月 伸哉 |
名古屋市立大学大学院医学研究科 精神・認知・行動医学分野 | 教授 | 明智 龍男 | |
東京慈恵会医科大学がんサバイバーシップ・デジタル医療学講座 | 産学連携教授 | 内富 庸介 | |
国立がん研究センター東病院 | 精神腫瘍科長 | 小川 朝生 | |
東京慈恵会医科大学 がんサバイバーシップ・デジタル医療学講座 | 栗栖 健 | ||
キャンサー・ソリューションズ株式会社 | 代表取締役社長 | 桜井 なおみ | |
国立がん研究センターがん対策研究所行動科学研究部 | 室長 | 藤森 麻衣子 | |
共同研究者 | 第一三共株式会社 | グローバルDX HaaS企画部長 | 中島 伸 |
3 研究の目的、意義
これまで私たちが行ってきた研究で、初期治療を受けた後の乳がんの患者さんが、不安感などの気持ちのつらさを経験されていることがわかっています。その乳がん治療後の気持ちのつらさに対しては、さまざまな方法で症状を和らげる試みが行われていますが、私たちはピアサポートが有用なのではと考えております。しかし、まだ調査や研究がすくなく、本当に有用なものなのかが分かっていません。近年はスマートフォン、いわゆるスマホやコンピューターが普及し、生活に身近なものになってきました。この研究では、スマホやコンピューターを用いてオンラインでピアサポートを受けていただくことによって、どの程度、不安を和らげ、生活の質(クオリティー・オブ・ライフ)が改善するかを調べます。本研究により、オンラインピアサポートがさらに普及することが期待されます。
4 あなたがこの研究の対象者として選定された理由
以下に当てはまる方に研究にご参加いただけますと幸いです。
- 18歳以上の女性の方
- スマートフォンやコンピューターの操作に慣れている方
- 早期乳がんと診断され、初期治療(手術、補助療法)が終了後3年以内の方
- (手術のみが予定されている場合は、手術後に参加可能です。)
- (手術後、補助療法が予定されている場合は、計画された術後補助療法の終了後、もしくは中止後に参加可能です。ただし、ホルモン療法単剤の術後補助療法は、終了前もしくは中止前であっても参加可能です。)
また、以下の条件にあてはまる方は、この研究にご参加いただけません。
- 活動性の重複がんを有する方
※局所治療により治癒が可能な上皮内癌もしくは粘膜内癌相当の病変は、活動性の重複がんに含めません。 - 日本語の読み書きが難しい方
- 認知機能障害などで事務局や担当医が試験への参加を不適当であると判断させていただいた場合
*上記基準に関しては、臨床研究コーディネーターが最終的に電話で確認させていただきます。
5 この研究の方法及び期間
【研究への協力について】
1)本研究の方法
今回、研究への参加に同意をいただけましたら、ピアサポートをすぐに受けていただくグループか、少し遅れて2週後にはじめるグループの、いずれかの群に分かれます。この割り振りに関しては、コンピューターが無作為に決定します。この決定に関しては、参加者自身あるいは研究責任者は関与することができません。この手法を「ランダム化」と言い、治療の有効性を確かめるために行われる科学的手法の一つで、2通りのどれになるかの確率は均等にされています。
2)皆様に具体的にお願いしたいこと
① 初回アンケート
研究に参加していただくみなさまに対して、以下の背景情報や関心のあるトピック、今のお気持ちや状態などについてのアンケート調査をさせていただきます。所要時間は20~30分程度です。
【背景情報】
- 年齢
- 初回診断時の西暦、乳がんの状態やタイプ
- 婚姻状態
- お子様の有無
- 身内に相談できる方がいらっしゃるか
- 経済状態
- 教育歴
- 職業歴
- 心配性か否か
- がんに対するピアサポートを受けられたご経験の有無
- 関心のあるトピック
② ピアサポートの予約と実施
みなさまには、本研究ウェブサイト上にあるピアサポート予約画面にて、オンラインピアサポートを予約していただきます。通話には、本研究ウェブサイト上のシステムに搭載されている機能(Zoom)を使用いたします。当日は2名のピアサポーターが参加させていただきます。このピアサポーターは、乳がんを体験していて、厚生労働省委託事業「がん総合相談に携わる者に対する研修プログラム策定事業」を基に実施された研修を修了しており、ピアサポートの経験がある方たちです。がん体験者であるピアサポーターに、乳がんの治療中の生活の悩み事に関する相談や、お互いにがんの経験を分かち合っていただきます。ピアサポートの回数は1回で、40分を上限に行っていただきます。
なお、ピアサポートを2週後にはじめるグループに入られた方は、2週間お待ちいただいている間に、他のピアサポートやがんサロンへの参加はしないようにお願いいたします。
③ ピアサポート後のアンケート
ピアサポートを受けた直後と、その約1週間後にアンケートにお答えいただきます。
なお、ピアサポートを2週後にはじめるグループに入られた方は、ピアサポートを受ける前にも(2週間お待ちいただいた後)アンケートにお答えいただきます。
【本研究全体の実施予定期間およびみなさまの研究参加期間】
研究全体の実施予定期間は2026年2月までの約1年間を予定しています。
みなさまの研究参加期間は、初回アンケートからピアサポート後のアンケートまで、約1か月程度を予定しております。(ピアサポートの予約状況によって個人差がございます)
6 あなたがこの研究に参加することによって期待される利益と予測される負担やリスク
①利益
あなたがこの研究に参加されますと、医学の進歩に貢献していただいたことになります。
②不利益
本研究でお願いすることはアンケート調査とオンラインを通した面談です。研究参加のために少しお時間をいただくことと、アンケート調査への入力やオンライン面談におけるデータ通信料の経済的な負担がございます。
7 同意の撤回の自由について
この研究への参加はあなたの自由意思によるものです。この研究に同意された後であっても、いつでも参加を取りやめることができます。
同意の撤回を希望する場合は、アンケートを入力するウェブサイトに同意撤回の項目がありますので、そちらをお選びください。この説明書を読まれたからといって、参加されない場合や途中で撤回する場合でも、何ら不利益は生じません。
8 研究への参加に同意しなくても、途中で同意を撤回しても、不利益な取り扱いを受けることはありません
あなたがこの研究への参加に同意されない場合や、途中で参加をとりやめる場合でも、今後の治療等で決して不利益を受けることはありません。
9 研究に関する情報公開
この研究の成果は、学術雑誌や学術集会を通して公表する予定ですが、その際も参加された方々の個人情報などが分からない状態で発表します。また、この研究に関する情報は、公開データベース(UMIN-CTR:大学病院医療情報ネットワーク)に公開されます。このホームページで公開される情報は研究内容および結果の概要であり、あなたを特定できる情報は公開されません。あなたはいつでもこのホームページの内容を確認することができます。
10 研究計画書及び研究の方法に関する資料の入手または閲覧できる旨とその方法
研究計画や研究の方法についての資料を入手または閲覧することを希望される場合は、研究担当医師にその旨をお伝え下さい。個人情報保護やこの研究の実施に支障をきたさない範囲で提示いたします。なお、ご希望された場合でも、個人情報保護のための対応などで提供に時間を要することがあります。
この研究により得られた結果は、ご希望があればお知らせいたしますので、研究担当医師にお申し出ください。
11 個人情報等の取り扱い
この研究で得られたアンケート(データ)の結果は、研究IDを用いて管理され、名前や年齢などの個人情報とは分けて保存します。なお、あなたとこの符号とを結びつける対応表は、研究事務局にて厳重に保管します。
オンライン面談で用いるZoomが収集する個人情報については、Zoomの利用規約に従って取り扱われます。本研究の観察期間終了後もZoomをお使いいただくかは、あなたの自由意思に委ねられます。
12 情報の保管方法、廃棄方法
本研究に関する記録、情報等については、紙媒体もしくは電子記録媒体(CD-R、DVD-R等)の場合は施錠可能なキャビネット等に、また電磁的記録の場合はアクセス管理のされた堅牢なサーバー等に保管いたします。
研究代表者及び研究責任者は、本研究に関する情報等を研究の結果の最終の公表について報告された日から10年を経過した日までの期間適切に保管いたします。なお、共同研究機関においては、各機関の手順に従って適切に保管・廃棄いたします。
研究終了後、保管期間が経過した場合、本情報は廃棄します。このとき、紙媒体の資料は、シュレッダーで裁断し、再現不可能な状態にした上で廃棄し、電子記録媒体は物理的に破壊してデータ読み取りを不可能にした上で、同様に廃棄します。あなたが全ての情報使用に関しても同意撤回した場合、その時点で同様に紙媒体及び電子媒体の資料を廃棄します。
13 あなたから頂いた情報について、将来の他の研究に用いられる可能性、又は他の研究機関に提供する可能性
この研究で収集した情報は、現時点では計画されていない、この研究とは別の目的の研究でも利用させていただくことがあります。
別の目的の研究で利用する場合は、新しく研究計画書を作成した後、倫理審査委員会の承認を得たうえで利用します。
14 研究により得られた結果等の取り扱い
この研究では、検査結果は収集せずアンケートのみ収集します。個人的なアンケート結果は、研究的要素が強くあなたの状態を評価するための情報として精度や確実性が十分ではないためお伝えしません。ただし、研究中に実施される面接の結果、専門医への受診などが強く望まれると研究者が判断した場合には、その旨お伝えいたします。
また、この研究で収集された情報は、患者さんの利益や医療の向上に貢献すること等を目的に、この研究に関与しない第三者の医師、学会等へ提供されることがあります。どの国の第三者へ提供されるかは、この研究で得られた結果によっても変わるため現時点では未定です。そのため、あなたへの説明及びあなたからの同意取得を行う今の時点では、あなたのデータを提供する国をお伝えすることはできません。あなたのデータは日本よりも個人情報やプライバシー等に関する法律や規制が十分でない国に移転・提供される可能性もあります。
いずれの場合でも、個人が特定できる情報は含まずに取り扱われますので、あなたの個人情報が外部に漏れることはありません。
15 あなたおよびその関係者からの相談等への対応
この研究について知りたいことや、ご心配なことがありましたら、遠慮なくご相談ください。
【問い合わせ先(平日 月・水・金 15時~19時)】
*問い合わせいただいた際に、急な診療などの関係ですぐに対応できないこともあるかもしれないことをご理解ください。
研究事務局お問い合わせ窓口
名古屋市立大学大学院医学研究科精神・認知・行動医学分野 内
住所:〒467-8601 名古屋市瑞穂区瑞穂町字川澄1番地
電話:090-7042-9321(平日 月・水・金 15時~19時)
メール:info@hope-bc.org
16 あなたに対する費用負担、謝礼の有無
本研究への参加に伴う経済的負担はありません。しかしながら、通信機器の通信料がかかり、またお時間等を頂戴いたしますので、研究への参加およびアンケートの回答に応じて些少ばかりのお礼の品をお渡しいたします。具体的には、研究にご参加いただき、アンケートにすべてお答えいただいた方には、最大4000円相当をお送りさせていただきます。
17 研究によって生じた健康被害に対する補償の有無、その内容
本研究は、危険性は伴わないため、この研究を行うことによる健康被害に対して補償や賠償保険などは準備しておりません。もし、身体状態や精神状態が悪化した場合には、お手数ですがかかりつけの医療機関や主治医にご相談いただければ幸いです。
18 この研究の資金源及び利益相反(COI(シーオーアイ):Conflict of Interest)について
研究一般における、利益相反(COI)とは「主に経済的な利害関係によって公正かつ適正な判断が歪められてしまうこと、または、歪められているのではないかと疑われかねない事態」のことを指します。具体的には、企業等が研究に対してその資金を提供している場合や、研究に携わる研究者等との間で行われる株券を含んだ金銭の授受があるような場合です。このような経済的活動が、研究の結果を特定の企業や個人にとって有利な方向に歪曲させる可能性を判断する必要があり、そのために研究の資金源や、各研究者の利害関係を申告することが定められています。
本研究は、第一三共株式会社の資金提供により実施いたします。第一三共株式会社は、本研究の実施に必要な資金を提供するとともに、本研究計画書の立案、データマネジメント計画、統計解析計画の立案及び報告書の作成には関与しますが、データマネジメント、統計解析の実施へは直接関与いたしません。
なお、この研究では、企業等の関与と、研究責任者および研究分担者等の利益相 反申告が 必要とされる者の利益相反(COI)について、特定非営利活動法人 MINS 治験審査委員会 の手続きを終了しています。
19 研究成果の帰属について
この研究で得られるデータ又は発見に関しては、研究者もしくは研究者の所属する研究機関が権利保有者となります。この研究で得られるデータを対象とした解析結果に基づき、特許権等が生み出される可能性がありますが、ある特定の個人のデータから得られる結果に基づいて行われることはありません。したがって、このような場合でも、あなたが経済的利益を得ることはなく、あらゆる権利は、研究者もしくは研究者の所属する研究機関にあることをご了承ください。
研究参加のお申込み
研究参加のお申し込みは以下のフォームよりお願いいたします。